せまんてのセマンティックな日記

虐殺器官:設定原作に忠実な出来だけど、原作未読だと難しいかも【微ネタバレ】

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楽しみにしていた虐殺器官をようやく見に行けました。
映画の出来としては、原作を忠実に再現する一方で、無駄な部分は削ぎ落とされて上手く纏まっていたかと思います。

 

鑑賞前は、本作は動きがある場面よりも会話が多い為、あまり映像映えはしないんじゃないかなーと思っていました。が、原作内の数少ない戦闘シーンを(冗長にならない程度に)最大限引き伸ばして、映画だからこそ発揮できる魅力を引き立てていたと思います。近未来ガジェットも見ていて楽しかったですし、戦闘シーンはかなり迫力がありました。MGSやCODを彷彿させますw

そしてこれは映画を見て改めて思いましたが、設定が本当に秀逸です。人間の脳に隠された『虐殺』性を、『器官』として落とし込んでいくのは非常に革新的だと感じます。

しかし、原作を読んでいないと理解が難しいのでは?と感じるシーンが多々ありました。特に、物語の根幹となる『言語』に関する解釈。トントンと話が進んでいくので、初見だと聡明な方でないと理解が難しいと思います……。私自身も昔読んだ原作を必死に思い出しながら映像を見ていました。たぶん原作読んでないと「????」って感じだったと思います。
その他にも、近未来ガジェットの数々も説明が最小限なので、相当SF慣れしている方でないと初見では理解できないのではないかと感じました。捕虜を無理矢理歩かせる機械とか、映像だけで理解するのは不可能なのではないかな……。
あと、ラストが少し説明不足だったかも。ちょっとネタバレですが、スピーチで締めるのではなく、暴動シーンも少し映した方が分かりやすかったんじゃないかなぁ。


総評としては、『設定原作に忠実な出来だけど、初見だと理解力が高くてSF慣れしてないと難しい』映画です。
原作が好きなら十分楽しめると思います。突っ込み所は多少ありますが、そこも原作通りですw 

これで伊藤計劃作品が全て公開されましたね。個人的には、
原作:ハーモニー>>虐殺器官>>>屍者の帝国
映画:虐殺器官>屍者の帝国>>>>>>>>>>ハーモニー
って感じです。ハーモニーの映画は本当に残念だった……。

 

本作は、一時は公開されないかと思いましたが、無事映像として見ることができて満足でした。1年以上待たされた甲斐はあったかと思いますw